フォト

作品/村田栞

  • 作品/村田栞へ

犬猫物語

  • 枯れ葉色の犬へ

« 老犬と階段 | トップページ | 進化する老犬 »

2017年9月 3日 (日)

タマちゃんのお話



単なる独り言。


(=^ェ^=)(=^ェ^=)(=^ェ^=)(=^ェ^=)


昨日、義母と共に、モトさん(義妹)の遺品整理に行った。
チャイムを鳴らすと、トシさん(義妹の夫)が、猫を抱えてドアを開けてくれた。
猫の名は、タマ。オレンジ色に近い茶トラの雑種である。


1504363889793

「ずっと玄関にいて、モトの帰りを待っているんです」
 トシさんは、そう言って、悲しそうに微笑んだ。
タマは、保護猫である。
仔猫の時、畑で鴉に襲われているところを農家の方に発見され、保護団体を経て、モトさんトシさんのところにやってきたという。
子どものいない義妹夫婦が、タマをどのように育てたか想像に難くない。
モトさんが入院していた時にも、タマはずっと玄関にいて、じっとドアを見つめていたという話は以前に聞いていた。

一昨日のことである。義母がモトさんの衣類整理を始めると、タマが爪を立てて義母に飛びかかったという。タンスから衣類を出す義母の手にかみつき、トシさんが止めに入ると、毛を逆立てて、「シャーッ!」
仔猫の頃のタマは、かなりやんちゃだったそうだが、成猫になってからはだいぶ落ち着き、来客にも怖じけることなく、近くに座っているとのことだった。
まして、義母は度々モトさんの家を訪れていたので、タマは義母には慣れているはずだったにもかかわらず――。

タマが何を思って、義母に襲いかかり、飼い主であるトシさんに対して怒りを顕わにしたのか。

 モトさんの物に触らないで!
 洋服がなかったら、モトさんが帰ってきた時に困るでしょ!

きっと、そんな気持ちだったのではないだろうか。



結局、その日、義母は衣類の整理を諦め、
(タマが邪魔したからではなく、整理の効率を考えてのことだが)
昨日、私とともに出直したのである。


私が部屋に入ると、タマは私の匂いを熱心に嗅いだ。

「ママのお洋服、もらっていくよ。ごめんね」

私の言葉を理解したのか、それとも2、3度しか会ったことのない私には遠慮があったのか、タマは私には手を出さなかった。
ただ、瞬きもせずに、私の作業をじっと見守っていた。


1504364064893


猫のタマには、モトさんがもう帰ってこないことを理解するのは難しいだろう。
おそらく今も、玄関に座って、モトさんを待っているに違いない。そう思うと、ひどく切ない。

そういう意味では、センター持ち込み犬である吉右衛門も、タマと同じだ。
元の飼い主には二度と会えない。けれど吉右衛門にはそれが理解できず、今も迎えにきてくれるのを待っているのではないだろうか。
医者から「2、3日がヤマ」と言われて8ヶ月。吉右衛門が生き延びているのは、元の飼い主に会いたいからではないのか――と、そんなふうにさえ思えてくる。

もしも、元の飼い主さんがご存命ならば、ひと目だけでも会わせてあげたい。
嗅覚が残っているうちに、意識がはっきりしている今のうちに。
無理な願いだと、わかっているけれど。



« 老犬と階段 | トップページ | 進化する老犬 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/593397/65745652

この記事へのトラックバック一覧です: タマちゃんのお話:

« 老犬と階段 | トップページ | 進化する老犬 »